こんにちは、町田コンディショニングジム健介の畑中健佑です。
パラリンピックのバドミントン(パラバト)は今回から正式競技となり、注目も集まっています。
健常者のバドミントンとパラバドミントンだと健常者のほうが見てても楽しいんでしょ?ルールも違うし、見どころってどんなところなのかな
このような疑問に答えました。
【筆者がパラバドミントンを知ることになったきっかけはこちら】
パラバドミントンの見どころ
パラバドミントンの見どころは多様性と個性です。
選手の皆さんなんらかしらのハンデをもってプレーしますが、そのハンデを克服したプレーや戦術に盛り込んでいるところが見どころです。
例えば、フットワークが苦手な選手はリストが強く、リストだけで強い球が打てたり、片腕がない選手はラケットを持つ手だけでサービスを打ったりします。
選手それぞれの個性はプレー中の見どころ!
パラバドミントンを見ることは健常者のバドミントンとは違った面白さがあります。
その点を実際にパラバドミントンプレーヤーに携わり、プレーをさせていただいた私の視点でランク別に解説させていただきます。
SU5ランクの見どころ (切断や麻痺などの上肢障害)
まず初めはSU5の選手。上半身のどこかに障がいを持っている選手です。
このランクの選手は一見健常者の方と同じレベルのプレーをされますが、バランスをとるのが非常に難しいとのことでした。
私が何回も練習させていただいたスルヨ選手も事故で片腕をなくしてから競技復帰したときになれるまで2年ほどかかったとのことでした。
試合を見てみるとほとんどハンデがないように感じられますが、その裏にはおおきな努力が見受けられます。
また、その中でも唯一顕著に出る差としては、利き腕に障害がある方は強打ができなかったり、利き腕じゃないほうの腕に障害がある方はサーブに大きな差が出るように感じました。
プレー中としては片腕が一部ない選手はバランスを取るのが難しいらしいのですが、腕が使えない分、足でバランスを取るのが非常に上手いです。
特にラウンドからのショットを打つ際の足でのバランスの取り方は非常に勉強になります。
この点も選手ごとに特性があるため、その点も踏まえて試合を見ていただけるとより楽しめると思います。
SU5でメダルが期待される選手
- 鈴木 亜弥子(すずきあやこ)選手
- 豊田 まみ子(とよだまみこ)選手
- 今井 大湧(いまいたいよう)選手
SL4ランクの見どころ (比較的軽度の下肢機能障害)
SL4 下半身のどこかに障がいを持っている選手です。
こちらのランクの特徴は下半身が動きづらいため、フットワークのスピードや動ける範囲が健常者の方に比べて落ちる傾向にあります。
しかし、そこは選手の方々は努力を重ねており、麻痺が残っている足首、長さの違う脚などでも効率よく動けるよう練習を重ねられており、ぱっと見のスピードは一般社会人の選手とほぼ変わりません。
そしてこのランクの見どころは、足が動きづらい分、ラケットワークと上半身のショットの強さが特徴的です。
相手の脚を止めるためのフェイントや、下半身がシャトルに追いついていなくても手首で強い球を打つ技術は秀でています。
この点も選手によって技巧派なのか、ショットの威力で攻めるのかを考えながら見ると非常に面白いです。
SL4でメダルが期待される選手
- 藤野 遼(ふじのはるか)選手
SL3ランクの見どころ (比較的重度の下肢障害)
SL3ランクは下半身のどこかに重い障がいを持っている選手です。
こちらのランクでは片足切断や思い麻痺など、動きがかなり制限されてしまうため、シングルスだとコートが半面になるのが特徴です。
片足をほとんど引きずりながらのフットワークになってしまうため、広範囲を守れないためです。
このランクの見どころは、長いラリーと我慢にあります。
守る範囲は狭いですが、速い球や甘い球を出してしまうと自分が動き回らなくてはいけなくなるため、ハイクリアーや、自分が動かないで済むようなドロップなどを打つことが多いです。
SL4の選手同様、スマッシュのスピードは非常に速いのですが、半面だと相手に触られる可能性が高いため、連打で決めるというよりは相手のリズムを崩したりけん制のために使っているような印象でした。
ラリーが膠着するととにかく我慢のラリーになることが多く、クリアー合戦からどこで仕掛けるか、ミスをするかという手に汗握る展開が多いです。
試合時間が1時間近くなることも珍しく無い
打つ球種の選択や精度、ロングラリーするための体力やメンタルなど、健常者のバドミントンプレーヤーが学ぶものは非常に大きい種目でもあります。
この我慢ラリーは特にシングラーの方に見ていただきたい、、、!
SL3でメダルが期待される選手
- 藤原 大輔(ふじはらだいすけ)選手
WH2、WH1ランクの見どころ (車いすのクラス)
下肢障がいがあり、立ってプレイすることができない選手のクラスです。
この中でも
- WH2 座位バランスが良好な車いすのクラス
- WH1 座位バランスが難しい車いすのクラス
と別けられます
このランクではコートが健常者の半分、さらにネットに近いフロントコートがない範囲になります。
このランクでは車いすに乗ってのプレイになるため、なかなか選手目線で試合を見ずらいかと思います。
なので、より車いすパラバドミントンを楽しむためにはご自身で車いすを体験してみましょう。
私自身福祉施設に勤めていたことがあり、その時に福祉用車いすを体験させていただきましたが、想像以上に体力を使い、また、操作が難しいです。
車いすの状態でスポーツをするのがどれだけ難しいのを感じていただけると、選手へのリスペクトも増すと思います
私が感じた車いすバドミントンの特徴は、まず他の車いす競技に比べて前後の動きが多いと感じました。
そのためシンプルな前&後ろのチェアワークの精度が最も求められ、なおかつ相手が体勢を崩してきた際の体制を整えるためのチェアワークも重要と感じました。
また、シングルスでは守る範囲が半面なため、いかにフォアハンドで打ち続けるかも重要と感じました。
ほとんどのラり―はフォアハンドで行われており、グリップの握り方もウェスタン気味で握っている方が多いいように感じました。(振りぬく方向によっては車いすにあたってしまうということもあるのかな…?今度機会があれば選手に聞いてみたいと思います)
ショットもほとんど腰から上の力で打たなければいけないため、その精度とパワーも求められる種目と感じました。
最初に前後のフットワークが重要と書かせていただきましたが、個人的な見どころはダブルスでのローテーションや態勢を整えるチェストワークの華麗さです。
ダブルスでもほとんどが前後のチェストワークなのですがその中でも時折見せる来るっと廻るようなチェストワークは見どころです!
WH2でメダルが期待される選手
- 山崎 悠麻(やまざき ゆま)選手
- 小倉 理恵(おぐら りえ)選手
WH1でメダルが期待される選手
- 里見 紗李奈 (さとみ さりな)選手
SS6ランクの見どころ (低身長)
SS6は遺伝または非遺伝性原因により身長が低い選手のクラスです。
こちらのランクでは、身体が小さい分パワーが少ないため、球速が出ずらいのとハイバックが飛ばしずらいようです。
このランクの見どころは相手を動かすためのショットの精度とコートをカバーするフットワークです。
いかにコートのぎりぎりを狙えるか、また狙える体制を作れるかが他のランクよりシビアになってきます。
フェイントなどのいわゆる難しい球はほかの種目に比べると少ないように感じました。
パッと見は小学生1.2年生の試合を見ているようですが、技術が高いため、他のランクや健常者の試合ではなかなか見れない魅力的な試合内容となります。
個人的に見るのがおすすめなランクの一つです。
SS6でメダルが期待される選手
畠山 洋平 (はたけやま ようへい)選手
パラバドミントンみどころまとめ
いかがでしたでしょうか?
普段はあまり見ることのないパラバドミントンですが、ランクやルールについて知っておくと、大会が開催された際により一層楽しめると思います。
コメントや道具に対するレビューなどお願いします
コメント一覧 (2件)
ブログ拝見致しました。
パラバトミントンについて、とても分かりやすくまとめられていて、素晴らしい記事でした。
私もパラバドを観戦したことがあるのですが、戦術など細かいとこまで考えられていて大変勉強になりました。
車いすクラスも楽しみにしております!
選手名で誤った記載の箇所がありました。
正しくは
豊田まみ子(とよだまみこ)選手
藤原大輔(ふじはらだいすけ)選手
だと思います。
他の記事も選手名修正していただけると良いかと思います。
今後も楽しみにしています!
Tony 様
コメントありがとうございます!
パラバドミントンは最近携わる機会に恵まれ、今回友人が出場することもあり、このようにまとめさせていただきました。
あくまでも私の考察なので、もっと専門的に携われている方の見解とは異なると思いますが、一度このような視点で見ていただければ嬉しいです。
車いすクラスはまだ自分の中でまとめ切れていないため、もう少し試合を見てから公開したいと思います。
また、選手名の訂正のご指摘、ありがとうございました。大変助かります。
そしてご本人には大変失礼いたしました。今後情報を公開するものとして気を付けていきたいと思います。
今後もコメントいただけると励みになります!よろしくお願いいたします!